大問3 酸化銅の還元反応(配点11点)
(1) 化合物の基礎知識と物質の密度
①は、化合物の基礎知識の問題です。
化合物は、2種類以上の元素からできている物質のことです。
水も水素と酸素からできているので、化合物になります。
②は、物質の密度の大きさを比べる、どちらかというと頭の体操のような問題です。
液体と固体では、固体の密度が大きければ沈み、小さければ浮きます。
設問中の表2から、
- 液体Xは、A,B,Cの全てのプラスチックが沈んでおり、他の液体では浮いたものもあれば沈んだものもあることから、液体Xが最も密度が小さいことが分かります。
- プラスチックBは、X,Y,Zの全ての液体の中で沈んでおり、他のプラスチックでは浮いたものもあれば沈んだものもあることから、プラスチックBが最も密度が大きいことがわかります。
次に、残りのA,C,Y,Zの密度を比較します。
上の表2の丸い赤で示した部分から、以下の密度の大きさの関係が読み取れます。
- 液体Y > プラスチックA ・・・①
- プラスチックA > 液体Z ・・・②
- 液体Z > プラスチックC ・・・③
②と③より、下記の密度の大小関係が読み取れます。
プラスチックA > 液体Z > プラスチックC
また、この関係性に①を考慮すると下記になります。
液体Y > プラスチックA > 液体Z > プラスチックC
ここに、最初に考えた密度が最大のものと最小のものを反映して回答しましょう。
(1) 解答と配点
①:ア , エ
②:B > Y > A > Z > C > X
配点 ①:1点、②:2点
(2) 酸化銅の還元実験
(2)は、酸化銅の還元反応からの出題です。
酸化銅は、炭素と混ぜて加熱することで、酸化銅の酸素と炭素が二酸化炭素となり、酸化銅は銅に還元されます。
①は、実験の注意事項を踏まえて、実験終了後の操作についての順番の問題です。
ガスバーナーの火を消す前にガラス管を試験管の石灰水からとり出しておくことで、加熱を終えたことによる圧力の変化による石灰水の逆流を防ぐことになります。
同様に、火を消してからゴム管を閉じましょう。
②は、金属の性質の問題です。
金属の性質は、下記の3つです。
- 金属光沢
- 電流を流す
- 叩くと伸びる
今回は、薬さじの裏でこすっているので、金属光沢についての記載しましょう。
③は、酸化銅の還元反応の化学反応式を書く問題です。
式の右辺と左辺で元素の数が等しくなるように確認しましょう。
④のaは、酸化銅の還元反応で発生した二酸化炭素の質量の計算問題です。
設問の表3を参考に、下記の考察を行います。
試験管Aでは、8.0 gの酸化銅に0.3 gの銅を加えた8.3 gの混合物を加熱したところ、反応後は7.2 gになったことから、8.3 g ➖ 7.2 g = 1.1 g の二酸化炭素が発生したことが分かります。
試験管Bでは、8.0 gの酸化銅に0.6 gの銅を加えた8.6 gの混合物を加熱したところ、反応後は6.4 gになったことから、8.6 g ➖ 6.4 g = 2.2 g の二酸化炭素が発生したことが分かります。
試験管Aと試験管Bから発生した二酸化炭素の質量は、混ぜ合わせた炭素の量に比例していること読み取れます。
すなわち、混ぜ合わせた炭素0.3 gあたり1,1 gの二酸化炭素が発生することが分かります。
これを利用すると、試験管Cでは、0.9 gの炭素を混ぜ合わせているので3.3 gの二酸化炭素が発生すると予想できます。
しかしながら、8.9 gの混合物が入っている試験Cを加熱したところ、反応後は6.7 gになったことから、8.9 g ➖ 6.7 g = 2.2 g の二酸化炭素が発生しています。
すなわち、混ぜ合わせた炭素は全て反応していないことが読み取れます。
したがって、8.0 gの酸化銅に混ぜ合わせる炭素の量を増やしても発生する二酸化炭素量は2.2 gになることになります。
よって、試験管Eから発生する二酸化炭素の質量も2.2 gになります。
④のbは、混ぜ合わせた炭素の質量と反応後に残った酸化銅の質量のグラフを書く問題です。
④のaの考察より、混ぜ合わせた炭素の質量が0.6 gのときに全ての酸化銅が反応しているので、その内容をグラフに書きましょう。
(2) 解答と解答例と配点
①:ア , エ
②:金属光沢がある。
③:2Cu + C → sCu + CO2
④a:2.2 g
④b:下図
配点 ①:2点、②:1点、③:2点、④:1点、⑤:2点
大問3 総括
2024年度の理科の大問3は、化学分野の酸化銅の還元反応の実験の問題が出題されました。
また、(1)では、身の回りの物質の単元の基本問題と頭の体操のような問題も出されました。
与えられた情報を整理して、落ち着いて解き進めることが求められました。
酸化銅の還元反応の実験の問題では、実験の注意点や金属の性質、化学反応式と学校の授業で扱われている内容の出題もあり、しっかりと点数を取っておきたい問題も散見されました。
発生した二酸化炭素の質量の計算問題についても、類似問題を解いたことがある方も多かったのではないでしょうか。
化学分野では、実験の内容を正確に把握して、情報を整理して論理的に考えることが求められます。
実験で出てきたおのおのの数字が何を示しているかを考えながら、解く練習をしておきましょう。
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